
〈月夜竜〉
空を跳ねるように駆ける小型の竜。高さ、長さ共に1mほど。
好物:餅
体長:1m

〈egg〉
ほのかに金木犀の匂いがする。月光にあてると僅かに揺れる。

〈𝐡𝐚𝐭𝐜𝐡〉
額から小さな角が生えている。月光を浴びながら眠るのが好きなようだ。翼は小さく、生え際を撫でると喜ぶ。

〈ハッチリング〉
額の角が芽吹き、葉が生え揃ってきた。イタズラ好きで、よくテイマーに頭突きしている。翼も僅かに成長しているが、体の割りに小さく、飛ぶことはできない。尻尾の毛は絡まりやすいのでブラッシングをたくさんしてあげた方が良い。

〈adult〉
額の角に金木犀が咲き誇る。この花の香りが強いほど、魅力的なようだ。翼のような部分は退化しており、羽衣によって空を跳ねるように飛ぶ。尻尾の毛を美しく保つと喜ぶ。満月の夜に空を眺めていると、金木犀の花びらが落ちてくるかもしれない。
〈ストーリー〉
ある男が、小さな月夜竜と一緒に暮らしていた。卵の頃からずっと一緒で、月夜竜は男が大好きだった。一緒にいるうちに月夜竜は成長し、もう大人と同じくらいの大きさだったが、翼は小さく、一向に飛ぶことはできなかった。
「私はどうして飛べないの??ずっと飛べないままなら彼に嫌われちゃうかな……」
男は言った。
「飛べなくても、君は僕の大事な家族だよ。」
そう言って彼は翼の付け根を優しく撫でてくれたが、月夜竜の心は曇ったままだった。彼の友達もみんな竜と一緒に暮らしているけれど、大人になったのに飛べないでいるのは月夜竜だけ。それが悲しくて男に頭突きをすると、男は月夜竜を抱きしめてくれた。
ある満月の夜、男は一緒に月を見ようと月夜竜を誘った。月は明るく輝き、あたりは真昼のように明るかった。月夜竜は、満月の光を浴びた金木犀の蕾から花の香りがするのに気づいた。男の隣で月を眺めているうちに、月夜竜は落ち着いた気持ちになって、小さな声で満月に願い事をした。
「いつか飛べるようになりますように。」
その瞬間、空から強い月の光が降り注ぎ、天女の羽衣のような薄い翼が月夜竜に生まれた。月夜竜が飛びたいと願うと、願い通りに宙に浮いた。月夜竜らうれしくなって飛び回る。月がいつもよりずっと近かった。両手を広げて立つ男に抱きつくと、男は優しく抱き締め返した。
「いつか飛べるって信じてたよ。」
男は嬉しそうに笑った。
角先の金木犀の花が甘く香っていた。
0/3000