第6弾カードコードのストーリーをプロトアルファメインで書きました。
途中から急にプロトアルファ視点になります。
「ああ、涼しい」「やっぱりここの川の水が1番気持ちがいいよ」豊かな自然が広がる野生の島ーヴェネトリー大陸
大陸に流れる小さな川辺で2匹のドラゴンが遊んでいた。立ち耳の方がアルタールゼロ、垂れ耳で赤い斑のある方がプロトアルファといい2匹は仲が良く、毎日一緒に遊んでいた。
「それじゃあプロト、次はかけっこをして遊ぼうよ。」アルタールゼロがそう言ってかけ出すと、「ちょっと待ってゼロ、先に走るのはずるいよ。」と プロトアルファは追いかけた。
藪のある場所を走っていると突然近くの藪が動き、次の瞬間ゼロの首に灰色の光る蛇が巻きついた。「ゼロ、だいじょうぶ?」駆け寄って蛇に噛み付いても硬過ぎてまるで歯が立たない。そのまま噛んでいると暴れていたゼロが不意に藪の方にひきづられた。「気を付けてこれはただの蛇じゃない!」ゼロが叫ぶと同時に藪の中から数人の人間が現れた。彼らはゼロを捕まえようとしていた。「待って私の友達を連れて行かないで‼︎私を連れていってください!」ゼロをこんな、感じの悪い奴らに連れて行かせるわけには行かない。そう思って暴れ回ると彼らは新しい蛇を取り出し、私の首にかけた。
その後はあっという間だった。彼らは結局、私達2匹を捕まえて研究所に放り込んだ。いかにも怪しげな薬を飲まされ、注射され最終的に私は独房へ、ゼロは大きな収容施設へそれぞれ入れられた。私もゼロも抵抗したが全く敵わず、私たちは離れ離れになった。
研究員たちは、毎日やってきては私を実験室に連れて行き、検査やら実験やら色々なことをした。私はいつも抵抗を試みたが、最終的には連れていかれた。
ある日、手術が終わったあと、いつものように足を踏ん張って、研究員たちの手間を増やそうとしたところ、後ろ足に力が入らなかった。それどころか足が勝手に引っ張られた方向に進んでいく。何が起きているのかと後ろ足を見て、私は仰天した。後ろ足は...なかった。無くなった後ろ足の代わりに車輪が付いていた。このまま実験が進んでいけば、最終的に私はどんな姿になっているだろうか?そう思うと全身に震えが走った。...ゼロもこんな目にあっているのだろうか。
最近、何かの液体の入った大きな筒に、入れられることが増えた。研究員たちは『虚無』というものを研究しているらしい。『虚無』というものは何も無いという意味らしい。そんなものを研究して一体何の意味があるのだろうか。この中に入っていると時々記憶がフッと消えてしまいそうになる。悪い時は、ゼロのことすら忘れてしまいそうなる。必死に忘れないようにもがきながら思い出を振り返り、また気絶する、その繰り返し。
今日も実験が終わり、独房につれて行かれた私は、別のドラゴンの気配がすることに気がついた。「えっと、こんにちは。僕はジャエルデルタ。君はプロトアルファかな?」話しかけてきたのはくすんだ緑色の蛇のようなドラゴンだった。口にはガスマスクをつけている。たしか何回か見かけたことがあったはずだ。きっと彼も独房の一つに入れられていたのだろう。 ただ分からないことがある。なぜ私の名前を知っているかだ。私がこのドラゴンに話しかけたことは一度も無いし、研究員に呼ばれているのを聞いていたのなら確実に私がプロトアルファだということがわかるはずだ。
「確かに私がプロトアルファだけど...なんで私の名前を知っているの?」私が聞くと、ジャエルデルタは「名前は君の友達から聞いたんだよ。良かった。違ったらどうしようかと思ったよ。」と答えた。私の友達はゼロしかいない。ということは当然ジャエルデルタに私の名前を教えたのはゼロということになる!!「ゼロはどうしている!?」思わず勢いよく聞くと「ゼロは僕と同じ囲いに入れられているよ。見ればわかると思うけど、毎日実験ばかりさ。でも、ゼロがタマゴの整理の仕事をやらされていた時に不思議なタマゴを見つけてね。そこから孵ったドラゴンの近くに行くとなんだか昔いた故郷の様子が浮かんで来て、元気が出るんだ。ゼロが言うにはタマゴを見つけた時にも急に力が出たりしたみたいだよ。」とジャエルデルタは笑っていった。ゼロは一応無事らしい。それがわかっただけでもよかった。
「ありがとうジャエルデルタ。」「ジャエルでいいよ。これからはちょくちょくここに来るよ、今脱出の計画を立てているところなんだ。」ジャエルはこう言った後、するすると壁の穴を通って出て行った。
見てみると壁に穴が空いている。そう言えばジャエルがガスマスクをしている理由は毒を吐くからだったと思い出した。念の為穴から距離を置いて眠る。「脱出」か。ここから出ることが本当にできるのだろうか?
最初に言っていた通りジャエルはその後も頻繁に私の檻を訪れた。
何度目かになる時、ジャエルは黄色の毛をした小さなドラゴンを連れてきた。
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